[speech position="左" name="ふみちゃん" content="こんにちは、一級建築士のフミです。
私は建築の中でも、特に好きなのが「素材」。建築空間の印象を左右する、超重要な要素なんです。
(某 斉〇和義氏の「君の顔が好きだ」という曲の歌詞に、素材の姿を思い浮かべてしまいます。)
さて、今回は素材の中でも、「フローリング」について。"]
[speech position="左" name="ふみちゃん" content="フローリングとは、床用の木材の一種のこと。一見なんの違いもなく見えるんですが、実はフローリングって奥深いんです。
今回は、フローリングの種類や、材質の特徴、メンテナンスの仕方について、素材の精たちに話を聞いてみたいと思います。
それでは、ふしぎな素材図鑑の世界に入ってみましょう!"]
登場人物の紹介
[speech position="左" name="ふみ" content="ふみ。司会進行役。コスパにはうるさいほう。白黒はっきりさせたい。図鑑の世界だとこんな姿になる"]
[speech position="左" name="奥さん" content="奥さん。好奇心の塊。インフルエンサーに左右されまくる人。夢は自らディレクションするマイホームづくり"]
[speech position="左" name="ムっくん" content="ムっくん。無垢フローリングの精。一本気で硬派。ずっと同じ態勢でいるのが苦手。本物志向"]
[speech position="左" name="フっくん" content="フっくん。複層フローリングの精。多重人格。表向きはいい人"]
フローリング素材の違いとは?
[speech position="左" name="ふみ" content="フローリングって悩みますよね。なんせ、床は、部屋の中で壁天井に次いで2番目に面積が大きい部分。ただでさえ、木の種類がたくさんあるのに、幅や長さ、塗装の色感、経年変化、メンテナンス……いろんな要素によって無限に表情が生まれます。さらに、今ではプリント技術も発達したおかげで、本物そっくりの木目模様がプリントされた樹脂素材も数多くあったり……"]
[speech position="左" name="奥さん" content="そんなことどうでもいいから、早くフローリングの素材の違いを教えて!"]
[speech position="左" name="ふみ" content="おっと、家づくり初心者の奥さんが匙を投げる前に……!今回は2名のフローリングの精に来ていただきました〜!"]
[speech position="右" name="ムっくん" content="自分は、無垢フローリングの精です。長いんでムっくんって呼んで下さい。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="よろしくねムっくん。"]
[speech position="右" name="フっくん" content="複層フローリングの精です。フっくんでいいです。好きなタイプはブレない人です。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="私みたいな人のことかしらぁ。"]
[speech position="左" name="ふみ" content="それガチで言ってます? では、お二人に色々伺っていきましょう"]
フローリング素材の違いって本当にあるの?
[speech position="左" name="奥さん" content="無垢フローリングと複層フローリング……どう違うの?"]
[speech position="右" name="ムっくん" content="自分は、ピュアで1本筋が通ってるってよく言われるっす"]
[speech position="左" name="ふみ" content="ムっくんは、丸太から切り出した無垢材で作られているので、混ぜ物無しの純粋な木材。1枚1枚表情が異なってて、味わいがあります。芯まですべて同一木材だから、深い傷がついても芯材が見えたりすることがなくて、安っぽく感じないんです。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="純粋な人、嫌いじゃないわよ。でも環境によって変形しやすい……フムフム、センスィティブなのね。かわいがりた〜い。"]
[speech position="右" name="フっくん" content="わたしは、「話す相手でキャラ使い分けてるよね?」ってよく言われます……そんなつもりないのに。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="わかるわ~。ビジュアルがまず胡散臭いよね。露出具合とか。"]
[speech position="左" name="ふみ" content="キャラ批判やめてっ・・・!フっくんは複数の薄板を重ねて貼り合わせて作られたフローリング。だから、乾燥収縮による変形が少なく、丈夫なんです。お二人の特徴、わかりました?"]
[speech position="左" name="奥さん" content="全然わからない!"]
[speech position="左" name="ふみ" content="ひえっ!じゃあ、もっとわかりやすく、それぞれの強みと弱みを紹介していきましょう!"]
フローリング素材ごとの強みと弱み
[speech position="右" name="ムっくん" content="自分はよく「個性的だね」って言われるっす。褒められてるのか、けなされてるのかわかんないっすけど……"]
[speech position="左" name="奥さん" content="個性的という言葉は誉め言葉が見つからないときに使うものよ。覚えておきなさい。"]
[speech position="左" name="ふみ" content="こらっ!
むっくんは、芯までぎっしり同じ木材なので、傷によって表面だけ剥がれたりすることがないのが強みです。1枚1枚が厚板で切り出されているので、木目が多様で表情が豊かですね。足で触れたときにも暖かく感じますよ。経年変化で味わいが増しますし、手をかけて育てていく楽しみもあります。"]
[speech position="右" name="ムっくん" content="自分、褒められるの慣れてなくて、あざます……(照れ)"]
[speech position="左" name="ふみ" content="弱点を挙げるとすれば、木目にばらつきがあって、乾燥する際の変形が大きいことかな。乾燥すると水分が減る分、痩せてきます。あとは、芯まで同じ材料だから、価格帯の幅が広いですね。高級木材を使用すると、かなり高価なフローリングになります。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="ホンモノ志向の私に合ってるわ~。けど、お財布の問題は大きいわね。どうにか安くする方法ない?"]
[speech position="右" name="ムっくん" content="自分、不器用でして……メーカーさんと相談して頂けると……"]
[speech position="左" name="奥さん" content="仕方ないわね。値切り交渉は美女の方が有利だものね。"]
[speech position="右" name="フっくん" content="(美女……?)わたしは「表向きはいい人だけど、裏がありそう」って言われます。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="正直に自分をさらけ出す点については好印象。"]
[speech position="左" name="ふみ" content="フっくんの強みは、基本的に繊維方向を90度交互に重ねられているので、環境変化による変形が少なくて安定している点です。なので、床暖房にも適しています。表の一枚は薄い突板(つきいた)で作れるので、安価なものでもバリエーションが多いのが良いところですね。"]
[speech position="右" name="フっくん" content="何年たっても変わらず、メンテナンスフリーでありたい。私は主婦のみなさんの味方ですよ。"]
[speech position="左" name="ふみ" content="ただ、接着剤で貼り合せてあるので、無垢材よりも化学物質が多く使用されていますね。自然志向の人からは避けられがち。あと、深い傷がつくと芯材が見える場合があります。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="傷つくとボロが出ちゃうのね。"]
[speech position="左" name="ふみ" content="でも、表面の板だけを厚め(3~4mmくらい)にすれば、ある程度の傷がついても芯材が見えることはないです。"]
[speech position="右" name="フっくん" content="薄くても本物であることに変わりはないですよ。"]
もしフローリングに傷がついたときのメンテナンス方法。ヤスリで軽く削って表面をなだらかにしてから、もともと塗られていたものと同じオイルや塗料で塗りなおしてください。また、無垢材であれば、重いものを落としてへこんでしまった場合などは水分を含ませてからあて布をしてアイロンをかけると、元通りになります。ウレタン塗装の場合は塗装部分が変質するため注意してください。
最新のフローリング採用事例
[speech position="左" name="奥さん" content="ふーん、フローリングのことだいたいわかったわ"]
[speech position="左" name="ふみ" content="では、実際にどこでフローリングが使われているか、見てみましょう"]
[speech position="左" name="ふみ" content="東京ミッドタウンのガレリアの床は、竹のフローリングだと思います。"]
[speech position="右" name="フっくん" content="(プロなのに曖昧な発言……!)"]
[speech position="左" name="ふみ" content="不特定多数のお客様が靴で出入りするので、水に強く変形が少ない材料であることが求められます。だから、おそらく複層フローリングのUVまたはウレタン塗装かと。"]
[speech position="右" name="フっくん" content="そうですね、私もそう思います~"]
[speech position="左" name="ふみ" content="住宅で使用されることが多いフローリングですが、近年では外部用であったり、わざとヴィンテージ感を出すためにダメージ加工したものや、簡易リノベーションDIYができるよう置くだけでいいパネル型のものなど、豊富な種類のものが売られています。身近になってきてますね。最近は床材を壁に貼ることもあったりします。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="テレビで見たことあるかも~。木ってあったかくていいよね〜"]
[speech position="右" name="ムっくん" content="うっす"]
まとめ
[speech position="左" name="ふみちゃん" content="いかがでしたか?
床は建物の仕上げ素材のなかでも面積が大きく、部屋の見え方を大きく左右する部分ですが、実は建設コスト全体のうち床材の割合はそれほど高くありません。
つまり、床材の仕様UPはコストパフォーマンスが高いのです。
一生ものの建築で、後悔しない決断をするために、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
次回は、壁についてお話しします。お楽しみに!"]
東北事務所所長・意匠設計部主任/一級建築士。東北大学大学院都市・建築学専攻修士課程修了後、(株)アトリエ・天工人に入社。狭小住宅や、宿泊施設、内装、古民家改修設計および材料開発プロジェクト等に従事。2018年8月よりNoMaDoSに参画する。専門は意匠設計及びロゴデザインなどデザイン業務を担当する。