NoMaDoS

一級建築士事務所

02 AUG 2019

個性たっぷりな壁素材。見えてるようで見えてない違いを、壁の妖精が教えてくれた

[speech position="左" name="ふみちゃん" content="こんにちは、一級建築士のフミです。リフォーム番組の解体時の映像でよくぶっ壊されるところを目にする「壁」。壁は部屋の使い方や印象を大きく変える重要な建築要素です。今回は、壁についてお話ししてみましょう~。"] 

登場人物の紹介

[speech position="左" name="ふみ" content="ふみ。司会進行役。コスパにはうるさいほう。白黒はっきりさせたい。図鑑の世界だとこんな姿になる"]
[speech position="左" name="奥さん" content="奥さん。好奇心の塊。インフルエンサーに左右されまくる人。夢は自らディレクションするマイホームづくり"] 

壁の素材の違いとは?

[speech position="左" name="ふみ" content="今回は壁の精のおふたりに来ていただきました。私が小さいときはよく廊下の壁に両手をつっぱってよじ登って、親に怒られてました。素材さんたちに出会ってしまった今となっては、そんなことはできないっすね…"]
[speech position="左" name="奥さん" content="あーたにも幼い時があったのね。今日はどんな変態が来るのかしら"] 

[speech position="右" name="ビック" content="そろそろ入っていいっすか?ビニールクロスの精、ビックでぃーす。"] 
[speech position="右" name="しくえもん" content="私は漆喰の精、し…ゲフッ…おほんッッ……くえもんでござんす…(かすれ気味)"] 
[speech position="左" name="奥さん" content="…えっ?なんつった??もう少し大きい声で、ついでに自己紹介もお願~い。"] 
[speech position="右" name="ビック" content="僕は、ビニルクロスっつって、ポリ塩化ビニル樹脂でできているんでぃーす。下地のみんなと糊でくっつきやすいように、裏には紙が貼ってあるんでぃす~。よろしくでぃーす。"] 

<表が入る>

[speech position="右" name="ビック" content="僕は日本壁界でユーザー数めちゃめちゃ多いんで、基本どこにでも出没してまーっす。多分、これを読んでいる君の家の壁にも、僕が使われていると思うっす!"] 
[speech position="左" name="ふみ" content="うちにもいるわ。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="うちにもいるわ。何の驚きもない。"] 
[speech position="右" name="ビック" content="…空気のように当たり前の存在になりつつあるんで、新鮮味出していきたいっす。"] 
[speech position="左" name="奥さん" content="今どきは抗菌クロスとかもあるのね~。ビニルクロスはメラミンスポンジでこすれば多少の汚れは落とせるし、水にもつよくて重宝してるわ。"] 
[speech position="右" name="しくえもん" content="おほんッ。ゴフフンッ。…私は漆喰のしくえもんでござんす。消石灰(水酸化カルシウム)が主原料で、のり、水を練ってまぜるとできあがります。つなぎのために藁(わら)すさ等が入ってることも多いです。化学物質少なめなので、おかげさまで長生きさせてもらってます。"] 

<表が入る>

壁素材にも歴史がある

[speech position="右" name="ビック" content="僕は建材の歴史でいうと割と最近出てきた若手でぃして。"] 
[speech position="左" name="ふみ" content="うん、なんかノリでわかった。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="とっつきやすいけど薄っぺらい感じね。"] 
[speech position="右" name="ビック" content="ひどいっ…僕繊細なんですから優しくして下さい…すぐやぶれちゃうんでぃーす。薄いから。"] 
[speech position="左" name="奥さん" content="否定してるわけじゃないのよ。友達は多そう。"] 
[speech position="右" name="ビック" content="あ、わかりますぅ?平らで乾いた板とかと仲いいっす。俺たちの関係は、乾いた材料だけでつくることができる同士で施工できるから「乾式工法」っていわれるっすね。"] 

[speech position="左" name="ふみ" content="しくえもん氏はお城とか蔵とかによく使われてるよね。"]
[speech position="右" name="しくえもん" content="私は、下地の土壁氏とは、長年懇意にさせてもらってます。"] 
[speech position="左" name="奥さん" content="お城の白いところってあなただったの?"] 
[speech position="右" name="しくえもん" content="ゴフォンッ…はい、そうです。工事の際には練り混ぜる水が必要なので、「湿式工法」と言われます。海藻糊のツノマタ君と昔から二人三脚で生きてきやした。
あとは、藁が入ってたり、麻や紙の繊維でできたスサがはいってたりします。ww←藁"] 
[speech position="左" name="ふみ" content="(藁があふれだしてる…!)"]
[speech position="右" name="しくえもん" content="こちらは相当に長いですよ、建材生活4~5千年やってますから…けど、昔のことはもうほとんど覚えてないや。ww
いまじゃいろんな親戚がいてね…コテ波とか、扇とか、スペイン行ったやつもいたな…"] 

[speech position="左" name="ふみ" content="しくえもん氏、4~5千年前だったら想像もつかないだろうけど、今はDIYできる漆喰もあるんだよ。なんと、蓋を開けたらそのまま塗れちゃう。石膏ボード下地に、手で塗りたくることができちゃう。私もやったことあるよ。"]
[speech position="左" name="奥さん" content="そうなのね。でも、左官仕事はやっぱり職人さんにゆだねた方が間違いないわね!ツルっと仕上がった壁は気持ちい~もの。"] 
[speech position="右" name="しくえもん" content="職人さんに塗られる方が力加減が丁度良くて心地いいですよ。お肌ツヤツヤに仕上がりますし。"] 
[speech position="右" name="ビック" content="ぼ、僕のことも、忘れないでぃー!建材界では新入りだから、まだまだ改良がんばりまっす。これからもずっと、お財布にやさしく、皆さんの暮らしに寄り添いますよ~!"] 

<ひとことアドバイス>
個人的には元祖・自然素材壁というとやはり漆喰が一番。実は私の祖父は、左官職人でした。実家の祖父の部屋だけは漆喰の壁で、さわるとつるつるして肌触りが良く、夏はひんやりしてとても気持ちよかったので、毎日壁に張り付くように、変な体勢で寝ていました。笑
初期投資は高めですが、きちんと施工すればひび割れも少なく数十年と持つのでおすすめです。

まとめ

[speech position="左" name="ふみちゃん" content="いかがでしたか?
ビニルクロスに代表されるクロスも、漆喰に代表される左官材料も無限といっていいほど種類がありますが、特に一般的によく知られているものから出てきてもらいました。
存在はなんとなく知っていても、実はよく知らない特徴を、これからも掘り下げていきたいと思います。次回は屋根についてお話しします!"] 

連載担当:ふみちゃん(乙坂譜美 - Fumi Otosaka)
東北事務所所長・意匠設計部主任/一級建築士。東北大学大学院都市・建築学専攻修士課程修了後、(株)アトリエ・天工人に入社。狭小住宅や、宿泊施設、内装、古民家改修設計および材料開発プロジェクト等に従事。2018年8月よりNoMaDoSに参画する。専門は意匠設計及びロゴデザインなどデザイン業務を担当する。

▶︎前回の連載記事はこちら


実は奥深いフローリングの世界 素材の違いをキャラで説明してみた

▶︎NoMaDoSメンバーの他の連載はこちら


Magazine NoMaDoS